May 20, 2006

『ようこそ・パレスチナ』 コリン・コバヤシ

昨年6月、CCIPPP(Compagne Civile Internationale pour la Protection du People Paletinien = パレスチナ民衆保護のための国際市民派遣団キャンペーン)のコーディネーターたちと派遣団に参加した有志が集まって、一ヶ月、毎日一晩の<パレスチナ・カフェ>を行なう企画を実行しました。それは、イスラエルが様々な手段を講じて、パリで、イスラエル映画祭や、「イスラエルを知ろう」という名のキャンペーンを特定の書店と協力して企画したことに対抗するために始まったのです。それなら、私たちは、30日間、毎晩異なったカフェ(喫茶店)で、パレスチナにまつわる様々な文化的催しをしようではないか、と。 

昨年は、様々なジャーナリスト、知識人、研究者、文学者や、俳優、詩人、ヒップ=ホップやジャズのミュージシャンなどが、ボランティアで参加しました。ミニ講演、ミニ上映会、ミニ演劇、ミニ朗読会、ミニ・コンサートなどが2-30人から7-80人規模のカフェで行われたのです。ダルウィッシュの詩やジュネ、サィードの文章の朗読があったり、自作の詩を披露する詩人や作家もいました。また真剣にパレスチナの状況を語り合ったり、ロニー・ブローマン(前「国境のない医師団」会長)、ミッシェル・ワルシャウスキー(エルサレムのオルタナティヴ情報センター主宰者)、ドミニック・ヴィダル(『ル・モンド・ディプロマティック』記者)、ドニ・シフェール(週刊紙『ポリティス』編集長)、エリアス・サンバール(パリ在住のパレスチナ歴史家)など著名な専門家達と討論をかわす夕べもあり、その他、コンサート、ラップ、演劇など盛りだくさんでした。 私は組織委員会に要請されて、18区のカフェで催しました。広河隆一さんのパレスチナの写真展と雑誌『DaysJapan』のパレスチナ特集の紹介、日本のパレスチナ支援運動の状況、また私のヴィデオ作品の上映を行いました。

 その夕べは、パレスチナ音楽から始まり、最後はパレスチナ料理のサーヴィスまであり、カフェの常連含め、50人ほどの方々が真夜中の2時頃まで楽しく語りあいました。今年は、この試みを全世界の都市に呼びかけようと、パリの<マルハバ・パレスティーン>(『マルハバ』はアラビア語で「ようこそ」の意)連絡委員会は世界に向けてこの企画のアピールを発しました。委員会には、今までの117回に及ぶ市民派遣団に参加した様々な個人が多く参加していますし、他の支援組織の方やフランス在住のパレスチナ人も参加している緩やかな集団です。:http://marhabapalestine.free.fr/ (仏・英・スペイン語) 

 むろん、フランスには伝統的なカフェ文化があり、オープン・カフェが多く、近年フランスで流行の文学カフェ、哲学カフェもそれらに裏打ちされたものです。また多様なNPOの会合も、しばしばカフェが利用されます。フランスにおいては、パレスチナ支援者は、アラブ系住民が多いため、数も多く、当然大きな動員も可能となります。 しかし日本においても、大動員は不可能でも、パレスチナに思いを馳せることは不可能なことでないと思います。60年代には東京でも、風月堂、歌声喫茶<どん底>、クラシック喫茶<らんぶる>といった様々な個性的なカフェが多くの若者達を引きつけ、討論の場として利用されました。萎縮している日本の公共空間を広げ、より多くの方々がパレスチナ問題を文化の収奪の問題として普遍的な観点から考えるためにも、この試みは人々の心に届くかもしれません。

 今日、パレスチナの状況が以前にも増してたいへん苛酷であるのは、皆さんご存知のごとくです。ハーグ国際裁判所の勧告にもかかわらず、西岸の壁建設は継続され、土地は分断されて領土的観点から独立国家になり得ない現実を浮き彫りにしています。西岸の植民地化はパレスチナ人との交渉なしに、イスラエルによって一方的に進められ、また占領地からの一方的撤退後のガザの完全封鎖は、ガザ住民を違法な占領状態からの解放ではなく陸の孤島のような幽閉状態に陥れています。また四散して難民化したパレスチナ人たちは帰還権も得ぬまま貧困と抑圧状態の下で放置されています。状況が一向に改善されない結果として、ハマス政権が出現しました。そして米国もEUも支援金の中止決定をしましたが、それはパレスチナ民衆にとって二重の桎梏を意味します。

 現地では、この不法な占領下でも、毎日の暮らしを何とか生きているパレスチナの人々がいます。オリーヴ畑を手入れに行く農民の日々の暮らしがあります。子供を学校に送り、イスラエル軍や植民者から身を守り、野菜の栽培や、オリーヴの生産のために、無数のチェック・ポイントで何時間も待ち、あるいは迂回して数十キロを歩いて通う農民、市民や家族を支える女性たち、苦難にもかかわらず笑顔を持ち続ける子供たちがいます。大切なのは、戦争以前に、そこに人々の暮らしの営みが営々と続いているという現実を知ることです。そしてその営みが不断に抑圧され、分断されているという耐え難い事実を知ること。そのようなパレスチナ民衆の暮らしや生活を尊重し、そこに思いを馳せること、そこから根本的な理解や連帯が始まるのではないでしょうか。そして連帯の証しとして、世界が彼らを見捨てていないことを示すささやかな試みが、パレスチナ・カフェ「ようこそパレスチナ」を仲介の場として、実践されるのです。 日本の各地でのささやかな私たちの連帯行動が、パレスチナと世界の民衆をつなぎ、そこに希望の灯をともすことになるのを夢見て、皆さんが何らかの形で「ようこそパレスチナ」を各地で各人の可能なやり方で参加してくださることを期待します。 参加を希望される団体、個人の方々は、『マルハバ-パレスチナ日本連絡会議』にご連絡下さい。連絡先:owner-marhaba-p@freeml.com




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